一雨千山を潤す。
自分がお世話になった空手道の良さを地域の人に少しでも伝えたい。今の時代だからこそ、さまざまな視点での武道の役割が必要なはず。まだ、全国的にもめずらしい女性道場主として道場を開設して3年目の高岡の女性空手家 千山道場 堀田千宴子代表にお話をうかがいました。
もう道場開設3年目だそうですね?
1日1日があっという間です。まだ全国的にもめずらしい女性道場主として自流派の「千山道場」を開設することになり後援会の皆さんのスピードについていくのがやっとでした(笑)。
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この2年あまりで10年分ほどの出来事の連続でした。今年の3年目を終える頃には、千山道場の土台がある程度形になりそうです。この3年ひと区切りを10回繰り返し、積み重ねた文化として30年後の次世代へ伝承する準備にもとりかかりたいと思います。
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関係者の皆さんのおかげで、空手の道と道場生の成長などじっくり向き合うことができました。
女性空手家でありながら2児のママだそうですが?
1歳の長男と3歳の長女の二人います。親も子とともに成長するとよく言ったものだとしみじみ感じています。
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空手家としてや道場の運営、指導をしている時でも、結婚前の若い頃の指導者としての価値観と今ではまったくものの見方・考え方が
違います。これは、人の親になってはじめてわかることでしたね。。。自分で意識した部分ではありませんが「礼・心技体」大きく変化していると思います。
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あと、女性道場主という視点が通常と大きく異なっていると思います。一言でいうと「人を育てるための人づくり道場」でありたいと思います。
千山道場はどんな空手道場ですか?
武道としての空手道場であるのは大前提ですが、私の父が師範をしていた頃からの実践空手や、私自身競技者として研鑽したフルコンタクト(直接打撃)空手という枠組みをあえて取り払い、沖縄(琉球)を原点とする唐手の道とした広義の「空手道」として歩み始めています。そこに社会教育というメインコンセプトが加わり、わかりやすい表現として「親子で学べる空手道場」となっています。
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2年目ともなると、私たちの考え方も地域の皆さんに伝わり始め、千山道場の趣旨に賛同されてのたくさんの各方面からのご支援や入門される方も多くなりました。
空手はおっかないイメージがありますが?
私が現役時代に所属していた道場もそうだったかもしれません・・・(笑)それは冗談ですが、ひとつの道を極めたり、頂点に立つには極限を追求する厳しい姿勢が不可欠です。しかし、一般生活者が皆それを必要としているかというとそうではなく、礼儀や心を強くすることであったり、体を鍛えることであったりします。「空手だけが強い人」に鍛えるのではなく、「社会で通用する人」を育てるのが千山道場の役割だと思っています。とっておきのどの方にもあてはまる具体的手法は『永く継続する』。
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現在の千山道場は、親子道場生はもとより、経営者さん、公務員さん、企業管理職やOL、高校生、大学生の方々も多く在籍され、最年少は3歳から最年長は60歳後半までが一緒に稽古し、老若男女各クラス定員枠ほぼ満員になっています。「上手くなるにも、強くなるにも、心を磨くにも」まず、続けられる環境を創ることも大切だと思っています。
北日本新聞まなぶんでも講師もしておいでるそうですね?
2011年の春から高岡大和の6FにOPENされた、北日本新聞カルチャーパーク高岡(愛称=まなぶん)で、4つの講座を開講させていただいています。空手や武道に縁のなかった方々にも良さを知っていただき、武道を日常生活に取り入れていただくための文化講座のひとつとして受講していただいています。とくに新しい試みとして、50歳以上のご年配者の方を対象にした講座を開講したのですが、皆さんとても真剣に稽古され、この春で丸1年たたれる60歳前後の男女8名が千山道場の道着に袖をとおされることになりました。「生涯空手として続けていきたい」言っていただけて、ほんとうにやってよかったと思っています。
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また、新年より新しく千山道場ジュニアクラスと女性のための講座が加わり計7講座となりました。空手道教室受講生で希望される方には、千山道場への編入や年に数度の千山道場での合同稽古、社会教育プログラムなどのイベントにも参加いただいています。
これからの展望は?
千山道場は地元高岡地域でも空手道の稽古をとおした社会教育の場として定着しはじめており、いよいよ昔の町内会や地域活動のようにお爺ちゃんお祖母ちゃんからお父さんお母さん、大学生から園児までの老若男女が空手道という共通言語で一緒に語りあえる環境が整いました。
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また、社会教育プログラムとして国宝瑞龍寺でのチャリティー座禅会や万葉まつりでの演武会など、空手道をとおした地域文化にふれる活動も充実してまいりました。これで空手の稽古を永く継続して続けられる土壌がそろってきましたので、今後はそれぞれの目標や目的にあわせ、空手道としてのさらなる広さと深さを追求できる体制にしてまいりたいと思います。
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そして、最後になりますが、今年来年にかけて黒帯(有段者)も出てまいりますので、武道家としての「強さ」の縦軸も再確認してまいりたいと思います。